小さなカフェの開業・経営をアトオシするカフェナレッジです。いまタイのチェンマイに来ています。「カフェの町」と言えるほど、チェンマイにはカフェが沢山あります。しかし当然ながら全部が流行っているわけではありません。
人気のカフェとそうでないカフェを比較すると、人気のあるカフェは、リピートしたいと思える5つの基本ポイントをきちんと押さえています。
この5つの基本ポイントは、どれも当たり前のことで、何をいまさらと思うかもしれませんが、流行っていないカフェはこの基本がことごとくできていません。
今回は「Jang Kub Coffee」という中小規模のカフェの教材にピッタリのカフェを紹介します。友人いわく、前はガラガラだったらしいですが、今では入店できない時があるぐらい人気です。一歩一歩、着実にリピーター客を増やしていったようです。
【立地】カフェの立地は辛抱強く探す
チェンマイには、ニマンヘミンというエリアがあって、ここにはおしゃれな飲食店やファッション、雑貨、ブランドショップ、マッサージ店などが密集しています。このため多くの人がここに集まってきます。とはいえ、ニマンヘミンのど真ん中では当然、家賃は高額です。
このカフェは、ニマンヘミンのエリアの一番外れの道にあります。しかし、ニマンヘミンへの通り道でもあるので、それなりの歩行者がいます。ニマンヘミンのど真ん中よりは家賃は安いけれど、通行量があるといった「中小規模のカフェに向いた立地条件と物件の探し方」で書いたとおり、中小規模のカフェにはもってこいの場所です。
たまに、家賃は安いけど通行量がほとんどない立地を選ぶ人がいます。一般的に、通行量が少ないと客入りが少ないです。
カフェに来店してもらわない限りリピートも何もないですからね。また、人通りが少ないのは、周辺にデパートなどの集客ポイントがないということですから、たとえカフェを気に入ってもらえてもリピートにはつながりにくいです。
カフェにとって理想的もしくはなんとかOKと思える物件は、なかなか出回りません。辛抱強く探すことが大事です。
【接客】接客はフレンドリーに
どんなに他が良くても、二度と来るかと思ってしまうことがあるのが接客です。逆に、多少ほかに欠点があっても、また来ようかなと思うのも接客です。
タイが微笑みの国と言ったのはいったいどこの誰でしょうか。タイ旅行を流行らせたかった広告代理店の仕業ですかね(笑)目も口も笑っていない人がすごく多い(隣国のミャンマーの方がよほど笑顔でした)。
そんななか、このカフェのスタッフはみんな笑顔でフレンドリーです。それだけでなく、パソコンをカバンから取り出していたら、「こっちのテーブルがいいよ。電源あるから」って教えてくれました。たった少しのやりとりですが、いい人だなーと思いますよね。
私はどんなにどしゃぶりの雨でも、滞在しているホテルの近くにあるカフェにはいかず別のカフェにいきます。なぜならそこは、白人にはデレデレ接客なのにアジア人には不遜な接客、つまりレイシストな接客なんですよね。まさか同じアジア人から差別を受けるとは(笑)
日本にもインバンドで各国から色々な人種の旅行者が来ていますが、民族差別は絶対ダメです。下手したら、グーグルマップのレビューに悪評を書かれますす。訪日観光客は食べログやぐるなびよりも、グーグルマップのレビューを見ます。
また、日本人もグーグルマップのレビューを見ることが増えていますから(外国語も翻訳され日本語で見られます)、その影響は計り知れませんので気を付けてください。
あと、訪日観光客を対応するかどうかで今後大きく売上が変わるので、英語メニューの準備と、簡単な英語による接客はできるようにしておきましょう。
【カフェ英語】これだけ覚えれば接客できるカフェの簡単英会話【インテリア】インテリアで差別化を図る
5つの基本ポイントはどれ一つ欠けてはいけませんが、あえて順位をつけるなら、立地の次に大事なのがカフェのインテリア(空間デザイン)です。中小規模のカフェでは、接客のおもてなしはできていても、空間によるおもてなしがいまいちなカフェが多いです。
初期投資を抑えたいためだと思いますが、テーブルや椅子などがチープすぎたり、食器などが平凡に感じることが度々あります。お客さんは、リラックスや非日常を求めてカフェを訪れています。
今回、紹介しているカフェは、写真のとおり見るからに材質の良い椅子でした。長いこと座っていても疲れません。回転率優先ではない中小規模のカフェにおいて、椅子はとっても重要です。
欲を言えば、食器はもっと頑張ってほしいです。私がオーナーだったカフェ(売却済み)は、机、椅子だけでなく、食器もすべてこだわってブランド物で揃えました。
高級ブランドのデザイナーさんが作ったものは、やはりお客さんにインパクトを与えるパワーがあると思います。よく食器について、かわいいとかおしゃれとか言われました。
もう一つこのカフェで素晴らしい点は、この人形です(笑)インパクトがあるので、必ず記憶に残りますし、インスタ映えしますよね。
時々アフロの色が変わったりして、こだわりを感じます。知らないお客さん同士の会話のきっかけになっていたシーンも何度か目にしました。
こういったアウトスタンディングな取り組みは大切ですし、これこそ自分でカフェを開業する醍醐味ではないでしょうか。他店ががんばっていない分、あなたはインテリアにコストを投下して他店との差別化を図りましょう。
訪日観光客に向けて、言うまでもなくwifiと各席で電源は必ず整備してください。ただし、お客さんがノマドワーカーばかりになって、さすがに回転率が悪すぎという時は、これ実際に私が相談された時に伝えたアイデアですが、電源を半分減らすといいですよ。
そうすると、自然とノートパソコンの電源を得られないノマドワーカーは半分に減ります。またノマドワーカーで全席埋まるという状況が続いたということは、それだけノマドワーカーにとって居心地が良いということです。
たとえ電源を半分にしても、ノマドワーカーが電源のある席を取ろうと開店時早くから来店するので、いつもお客さんがいるカフェという好印象を得られやすくなり、結果的にノマドワーカー以外のお客さんも入ります。
【味】味は必ず普通より上をキープする
ここのドリンクは、最高に美味しいわけではありませんが、どれも普通より上の味をキープしています。カフェで、味が大したことないのは致命的です。わざわざお金払ってまで、普通の珈琲を飲みに来るようなお客さんはいません。
普通以上の味を簡単に確保する方法は、少々高くても良い豆を使うことです。これで、ワンランク上の味を間違いなく提供することができます。これはお米もパスタも同様です。お米は農家さんから直接購入したら良いお米を市場より安く買えますよ。
このカフェでデザートは食したことありませんが、グーグルのレビューを見ると、なかなか評判のようです。実は、ここのカフェはデザートを他店から仕入れています。なんで分かるかって?なぜなら営業中に、何社もデザートを運んでくる業者が訪れて、お金を支払っているからです。
スイーツ専門店などから美味しいデザートを購入して、たとえ原価が高くなっても、結果的にお客さんがリピートしてもらえるきっかけになるなら全く問題ありません。お客さんがお客さんを呼び込みますからね。トータルで儲ければよいのです。
あれこれ何でも自分でしようとするのではなく、お金を使って、人気の味と時間(自分でそれを習得し作ろうとした場合にかかる時間)を買うのも賢い選択です。
【価格】カフェの価格は周辺に合わせる
ここのカフェのドリンク代は、周辺の似たようなカフェと横一律といった感じです。これで間違いありません。カフェの価格設定は、簡単で周辺のカフェと揃えればいいだけです。
ちなみに、ニマンヘミンは外国人の観光客や地元の富裕層が来るエリアで、ローカルのカフェの2倍近くが相場です。
たまに、周辺と比べて強気の価格設定をしているカフェがありますが、むやみに客足を遠ざけるだけなので、それ相応の理由がない限り、周りに合わせるのが無難です。逆に、安く設定するのも良くないですよ。それは回転率重視の強者の戦略であり、弱者の戦略ではありません。
編集後記
カフェを経営するには、カフェを作るだけでなく集客が必要です。しかし、「カフェの集客で消耗しないための穴あきバケツ理論」で書いた通り、一度来店してもらってもリピートしたいと思えるカフェでないと後に続きません。カフェをこれから開業する人は、5つの基本ポイントを何度も意識してカフェを作ってください。