小さなカフェの開業・経営をアトオシするカフェナレッジです。今回はカフェのコンセプトの話です。コンセプトを決めることがとても大事だと誰もが言っています。しかし、そう言われても、いまいちピンとこない人が多いのではないでしょうか。私自身、この記事を書く上で、改めて、ネットやカフェ起業本に目を通しましたが、頭が整理されるどころか混乱してしまいました。
おまけに、私の記事をパクッているブログを発見するという珍事も(笑)パクられるほど良い記事を書いたということですね。はい。どうもありがとうございます。
カフェのコンセプトを決める必要はあるのか?
別にコンセプトを作らなくてもカフェを作ることは可能です。それにも関わらず、皆がみなカフェを起業する時にはコンセプトが大事だと言っています。そう言われると、よし!コンセプトを決めようと思うのが普通でしょう。
しかし、いざコンセプトを決めようとすると、何か雲を掴むような感覚に陥いるのではないでしょうか。その理由は、なぜコンセプトを決める必要があるか?という必要性がセットで語られていないからです。
カフェを開業する時にコンセプトを決める理由は、自分のカフェの売りと方向性をはっきりさせるためです。出来上がったコンセプトを読んで、自分のカフェの売りと方向性が不明瞭であればもっと考えましょう。なお、天才的、感覚的に頭の中で整理できる人は、このプロセスは必要ありません。運が強い人もかな(笑)
スターバックスのコンセプトを見てみる
カフェのコンセプトというと、スターバックスの「第3の場所」が有名です。「家庭(第1の場所)でも職場(第2の場所)でもなく、顧客がリラックスできる第3の場所」という意味だそうです。
スターバックスに何度も行ったことがある者として、これは本当に言い当て妙だなと思います。ただ、もし私がスターバックスに一度も行ったことがなければ、分かるような分からないような感じだと思います。けれども、行ってみたいな~という気持ちはわきますよね?!
『あわてず悩まず!本質を見極める「問題解決」のきほん(翔泳社)鈴木進介』によると、「人々の心に潤いを提供したいというCEOの思い」と「ストレス社会におけるリラックスできる場所のニーズの高まり」から、このコンセプトが生まれたと書かれています。この本の中で、前者を内部環境、後者を外部環境と定義しています。
個人的な憶測ですが、個人がはじめる小さなカフェは、内部環境にウェイトを占めてコンセプトを考えがちではないでしょうか。カフェを経営していくには、外部環境も合わせてコンセプトを作ることが大事です。このためには、市場調査として出店地域のニーズを研究する必要があります。
コンセプトを決めてみる(サンプル)
内部環境と外部環境を整理した上でコンセプトを作ります。試しに、これからざっくりと架空のコンセプトを決めてみます。例がカフェっぽくないのは見逃してやってくださいね(笑)その分、現実に即した話ですので・・。
那覇が地元のAさんを想定:
- 内部環境の整理
-
- なにができるのか(売りは何か):戦後の食生活に影響される前の、脂っこくない伝統的な沖縄料理が作れる
- なぜそれがしたいのか:沖縄料理イコール脂っこいというイメージを払拭したい
- 外部環境の整理
-
- 観光客はローカル食を食べたい
- 観光客が激増している
- 観光客はお金払いがよい
- 観光客向けの店は沢山ある
- ただし沖縄の人は夜型が多く、朝食屋が少ない
- 数少ない朝食屋は高価格でも繁盛している
- それらの店舗は6~8帖程度で大きくない
- 競合店(朝食屋)は沖縄料理を提供していない
- コンセプト
- 沖縄の昔ながらのヘルシーな朝食料理を提供する
コンセプトが定まることで、コンセプトに外れないように、昔ながらの沖縄料理だからSPAMは使わないとか、どのように宣伝するとか、どのエリアに出店するとか、どういった価格帯にするとか、そういったことがおのずと決まっていきます。
『ストーリーとしての競争戦略(東洋経済新報社)楠木 建』によると、先に例としてあげたスターバックスは、注文を受けた後で、ゆっくり時間をかけてコーヒーを淹れるようです。こうすることで、慌ただしいお客さんを排除し時間にゆとりがあるお客さんが増えて「第三の場所」としての環境維持を狙っているようです。
スターバックスは、コンセプトに沿うように客層までコントロールしていたんですね。とても驚きました。ちなみに、この本は最近まで積ん読してました(笑)学者が書いた本は役に立たないという思い込みがあったんですね。しかし、読んでみて学者が書くからこそ気付ける視点があるのだなと思いました。
スターバックスを筆頭に、アマゾン、セブンイレブンなど我々にとって馴染みのある企業を例にコンセプトについて説明しているので、あ~そういうことかと腑に落ちます。かなりおすすめです。
編集後記
内部環境と外部環境を掛けあわせてコンセプトを作るイメージが掴めましたでしょうか。ただ、必ずしもこの決め方である必要はありません。コンセプトシートを使ってもいいですし、どんな決め方であれ、結果的に自分のカフェの売りと方向性がはっきりしたコンセプトが作れればよいのです。
こちらは、コンセプトがビンビンに伝わってくるカフェの実例です。「なるほどー、そういうことか~」と、コンセプトの理解が深まると思います。
コンセプトがビンビンに伝わってくる人気カフェ(実例)